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ハウルの動く城 (2005 宮崎駿) / 20051130 14:47:53
ハウルの動く城


DVDがリリースされたのでかりてきた。

この映画のストーリーは破綻していると思う。高坂さんがインタビューで、この映画は右脳でみる映画だと答えていたが、まさにそのとおりだと思った。ストーリーが破綻しているので、いろいろ説明不足だったり、話が飛んだり、戻ったりする。誰と誰が戦争をしているのか? 荒れ地の魔女とは何なのか? そもそも、ハウルと、その城は何なのか? ソフィーの容姿はどうして変化するのか? あまり丁寧に説明されているとは思えない。

僕は、宮崎駿は、このハウルを作る上で、映画のひとつのルールともいえるストーリーという枠に、とどまることができなかったのではないかと思う。ストーリーという枠を設定することで、映画はその枠の制約を受ける。通常、多くの映画はその制約の中で存在しているのだが、宮崎駿の場合、その制約の中に留まることなく、外ずさざるを得なかったのだ。だから、結果的に、そのルールの中で映画を見ようとする人にとっては、この映画は、受け容れ難いものだったかもしれない。

では、宮崎駿は、この枠(制約)の外に出ることで、何を表現しようとしたのだろうか。

『ハウル』は、宮崎駿が過去あまり手がけてこなかった、恋愛映画なのだと、制作発表時に説明されていた。僕は、男と女の映画で、その出会いは、もっとも演出家の力量が試されるところだと思っている。この映画では、それは、冒頭10分の中で起こる。ソフィーとハウルは出会い、そのまま、シリーズの最終回のような盛り上がりと音楽の中で、最高に感動的なシーンが用意されている。これもまた、映画の文法というものがあれば、少々逸脱したピークの置きかたのような気もするが、とにかく、この冒頭10分のピークで、僕はすっかり映画に入ってしまった。最初の10分で、視聴者を、シリーズ最終回のように盛り上げてしまう。芸としては、たいしたものだと思う。たとえば、人を10分間で高潮させることを考えて欲しい。なかなかできることではない。彼は、それをアニメーションでやっているわけなのだが、やっぱりたいした芸だと思う。宮崎駿が、映画のルールやセオリー(本来そんなものは存在しないとも思うが)にとらわれずに映画を作ったヒントの一部は、そんな冒頭の10分にも、あるのではないかと思う。その他にも、この映画には見所がたくさん用意されている。物語の全てが説明されていなければならない理由がどこにあるというのだろうか。

引退などせずに、劇場長編をもっと作ってほしいなと切に思う。★★★★

明日の午前11時までの公開ですが、こんなのもあります。必見です。
「宮崎駿監督、ベネチアにておおいに語る」(ほぼ日刊イトイ新聞)
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コメント
≪この記事へのコメント≫
 
ハウルは劇場で見たんですが,「少女漫画」っぽい作りだなぁと思いました.
多分,このお話の中で戦争や荒地の魔女とかの設定なんて,どうでもいいんですよ.ソフィーとハウルの恋の障害に過ぎないから.ソフィーとハウルにとって,それがどのように障害となっているかは重要ですが,なぜその障害が発生したかは彼らには関係無い.だから,劇中で描写する必要がない.
そういえば,少年漫画は設定やストーリーの論理的構成に拘っちゃう傾向ありますけど,少女漫画はそんなことないですよね.そういう意味でもハウルは少女漫画っぽいなぁ・・・と.
2005/12/01(木) 02:52:30 | URL | TOK #-[ 編集]
 
なるほど、少女漫画ですね。あまり少女漫画、読んだこと無いので気がつきませんでした。僕にとって、少女漫画は未知の世界です。「ガラスの仮面」とか、「かれかの」とか「紡木たく」とかは読んだけど。あまり少女漫画にはまれない自分は、男脳なんだなぁ…なんて思ったりしてました。余談ですが、韓流ドラマにはまれないのも男脳なのかもしれません。そういえば、どこかのインタビューで宮崎駿が別荘に、知り合いの女の子が置いていった少女漫画雑誌を一人でいるとき、退屈なので読んだら、とても面白く、続きを東京に戻ってすぐ買いに行った…と話していました。この出来事とこの映画、無関係でないのかもしれないですね。その漫画のタイトルも書いてあったので、いつか読んでみようと思っていて忘れていました。ハウルについては、宮崎さんは、右極化が静かに進行する日本とか、いまの若い人たちや、いろんなことがないまぜになって、ストーリーを保つことを意識的に放棄しているような気がします。ストーリーよりも、芸としての映像を優先して、むしろ、昔より、視聴者のことを気にしながら、映像造りをしているような気がするのです。もちろん、僕は、この説明しすぎない、ストーリーの枠にはまらない、彼のスタイルはとても衝撃的で、劇場で初めて見た時は、しばらく席を立てないほどでした。キューブリックがなくなったときに、スピルバーグが、彼のスタイルはいつも、どのシーンも意外性に満ちていて、われわれを驚かせてくれた、とコメントしていましたが、まさにそんな感じでした。予定調和的な映画をみる楽しみもあるのですが、宮崎さんは、そんな映画の作り方とは無縁なんだなぁと嬉しくなりました。引退なんてしないで、もっと、劇場長編を作って欲しいものです。まだまだやる気みたいですが…。
2005/12/01(木) 07:42:55 | URL | adu #-[ 編集]
 
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僕的には劇場公開観たから満足してた『ハウルの動く城』。 この前家のDVD置き場
2005/11/30(水) 15:21:57 | ■□■□イラスト発生源■□■□